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バイリンガルの嘆き
スイスは平和で、人はうらやみあこがれる。しかし、ノーベル賞を輩出しても目立った存在感がない。その数は人口比では世界一なのに。スイスのある女性が「自分たちには文学がないの」と嘆いていたのを思い出す。彼女はバイリンガルどころか、トリプルであった。そういわれると何もない。第一、言葉が無い!
絢爛たる平安文学が華開いたわが国とは異なる。彼らは文化の華である自らの文学を、言葉を持っていないのです。あの戦争で破綻したとき、これでわが国は滅亡した、そのとき国語をフランス語にしよう、などという輩まで出た。言葉を甘く見るな。どっこい、生き残り、再生したのである。
あなたはローマ人(あるいはその末裔)に会ったことがありますか。ない?世界帝国を支配していた市民を一人も知らないとは、どうしてでしょう。失われた民だからです。日本やベトナムの人たちに、その帝国の言語であったラテン語を学ぶべきだといいますか?ラテン文学といえるものは実に貧弱である、いや無いとさえいえる。そして帝国の滅亡ともとに死語になってしまった。帝国の言葉が、である。言葉の文化のない民族(国)は滅びるのです。
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