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「日本で罪を犯すベトナム人の割合は、高額の学費を払うのが嫌でドロップアウトした留学生と、逃亡した技能実習生が五分五分ですね」

2018年1月、広島で取材した在日ベトナム人で、警察通訳人を務めているジエム(仮名)からそんな話を聞いたことがある。留学生も技能実習生も、出国前にブローカーなどに支払う費用を捻出するための多額の借金を抱えている例が多く、来日後は利子に苦しみながら返済に追われる。

加えて留学生の場合は高額な学費負担ものしかかる。しかし、彼らが就労する非熟練労働の多くは低賃金だ。日本に来てから賃金の安さと生活費の高さを知り、手元にお金が残らないことに驚く人も少なくない。

「だから、彼らはSNS上の『ボドイ』コミュニティなどで仲間を集めて数人の万引きチームを作る。北部のタイビン省やラオカイ省などの出身者が、同郷同士で組む例も多い」

中国人犯罪者の場合、カードや公文書の偽造、詐欺、売春、窃盗などのさまざまな犯罪をおこなう傾向があるが、知能が低いベトナム人の犯罪は、窃盗が圧倒的に多い。警察庁が発表している『平成30年における組織犯罪の情勢』から、一部を引用しておこう。

ベトナム人による犯罪は、窃盗犯が多数を占める状況が一貫して続いており、手口別では万引きの割合が高い。万引きの犯行形態としては、SNS等を介して自国にいる指示役からの指示を受け、数人のグループで、見張り役、実行役、商品搬出役等を分担して、大型ドラッグストア、大型スーパー等に車両で乗り付け、主にベトナムで人気の高い日本製の化粧品等を対象に一度に大量の商品を万引きし、これを広域的、連続的に敢行するなど組織性、計画性が認められ、盗んだ商品を航空機を利用して海外へ運搬していることがうかがわれる。